各賞詳細

[名誉賞]

長年にわたる写真科学の研究と功績に加え,本会理事及び会長を通して長年にわたり本会の活動を活性化した業績

受賞者:阿部 隆夫氏

阿部 隆夫氏は1976年に東京大学大学院工学系研究科工業化学専攻博士課程修了後,小西六写真工業株式会社に入社され,写真,デジタルプリント材料・システム,日本国運転免許証カード等の研究と製品開発に従事され,多くの成果を出された.1998年より本会理事に就任され,1999年〜2006年に財務委員長,2002年〜2006年に副会長,2006年〜2010年には会長を務められた.この間に,職場を信州大学に移されたが,産学両者経験の立場から学術面ならびに人材面の交流強化を意識し,本会の活性化と活動範囲の拡大に対して取り組み,本会の活動を支えてこられた.このように,本会に対する阿部氏の長年の貢献は極めて大きく,名誉賞に値するものと考えられる.

略歴

  • 東京大学大学院工学系研究科工業化学専攻修士課程,次いで博士課程学生として本多健一教授(同学生産技術研究所,後に工学部)の許で光化学と電気化学の研究に取り組み,1976年に小西六写真工業株式会社に入社した.同年,工学博士.2003年3月末日,コニカ株式会社(小西六)を早期円満退社し,信州大学教授(繊維学部)に就任した.同学では副学部長,化学・材料系長など大学運営にも当たってきている.
    1998年に社団法人日本写真学会理事に就任し,財務委員長(1999年〜2006年),副会長(2002年〜 2006年),会長(2006年〜 2010年)を務め,現在評議員.
    この間,会社では社長賞などを受賞し,学会においても,(社)日本写真学会論文賞(1977),(社)有機合成化学協会・協会賞(1993),(社)日本写真学会・技術賞(1993),The Society for Imaging Science and Technology “Kosar Award”(2003)など多くの賞歴がある.

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[功労賞]

日本写真学会の運営・発展に尽くされた功労

受賞者:高橋 則英氏

高橋則英氏は,昭和53年日本大学芸術学部写真学科卒業,昭和55年同芸術研究所修了後,昭和61年以降現在まで日本大学での助手・講師・助教授・教授の重責を務められ,写真の歴史・保存から現在の技術までの一貫して写真に関わる研究に従事されてきた.

本学会では,平成3年度から画像保存研究会で委員を務められ,平成8 年度から画像保存研究会委員長を,平成16年度から平成21年度の3期6 年間に亘って日本写真学会の理事を務められ,学会の運営ならびに発展に尽くされてきた.

平成21年度からは日本写真学会新制度法人化対応委員長の重責を担われ,一般社団法人への移行に係る多くの重要案件に対し,他の委員とともに委員会の運営に腐心され,定款整備及び移行申請をスムーズに行い,認定答申を得て,平成24年度4月の移行に道筋をつけた功績は大きい.同氏の日本写真学会運営・発展に対する顕著な貢献は,功労賞に値するものである.

略歴

  • 昭和53年 日本大学芸術学部写真学科卒業
  • 昭和55年 同芸術研究所修了
  • 昭和59年〜 日本写真学会会員
  • 昭和61年 日本大学助手
  • 平成2年 日本大学専任講師
  • 平成3年〜 画像保存研究会委員
  • 平成8年 日本大学助教授
  • 平成8年〜 画像保存研究会委員長
  • 平成14年 日本大学教授
  • 平成16年〜平成21年 日本写真学会理事
  • 平成19年〜平成21年 日本写真学会財務委員長
  • 平成21年〜 日本写真学会新制度法人化対応委員長

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[功労賞]

日本写真学会の運営・発展に尽くされた功労

受賞者:岩崎 仁氏

岩崎 仁氏は1973年京都大学工学学部に入学され,同大学大学院を修了し,1980年に京都工芸繊維大学に勤務されてからも一貫して写真に関連する研究開発に従事されてきた.

本学会では,1985年から日本写真学会西部支部幹事,2004年度から2011年度までの4期,8 年間に亘って日本写真学会の理事を務められ,学会の運営ならびに発展に尽くされてきた.

その間,秋季研究発表会実行委員長,画像保存研究会及び同文化財写真保存ガイドライングループの運営と関連する美術館・図書館との関連活動,学会のパンフレットや学会ロゴマークのデザイン等々,多くの学会活動や業務に腐心され,学会を取り巻く厳しい環境下,学会の活性化など重要案件に対し,他の役員とともに学会運営や発展のために貢献された. 同氏の日本写真学会運営・発展に対する顕著な貢献は,功労賞に値する.

略歴

  • 1977年に京都大学工学部工業化学科卒業,同大学院工学研究課修士課程修了(1980年),同年,京都工芸繊維大学工業短期大学部助手,同環境科学センター准教授(2007年).
  • 1985 年以降,西部支部・幹事,西部支部・総務幹事2003年〜2005年),日本写真学会理事(2004年〜 2011年)を歴任.Journal Award . for the Best Imaging Science Paper 1985(米国画像科学会1986年度論文賞)授賞(1986年)
  • 1987年,日本写真学会橘保善会研究奨励金 授賞(1987年),技術賞授賞(2003年),コニカミノルタ画像科学振興財団研究奨励金授賞(2007年)等,授賞多数.       

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[学術賞]

X 線画像撮影系の性能と画質の評価

受賞者:松本 政雄氏

松本政雄氏は,1984年以来,X線写真の画質を表す鮮鋭度(MTF),コントラスト,ラチチュード,粒状(WS)の4つの要因を含んだX 線写真の画質の総合的な評価尺度として,空間周波数の関数である情報スペクトルを提案し,その適用例を示し,低コントラスト被写体で検出能が問題となる場合は低周波数成分を,高コントラスト被写体で鮮鋭度が問題となる場合は高周波数成分を比較すると主観的評価の順番が一致することを示した. また,人間の視覚の最小識別濃度差を考慮した心理物理的なRMS 粒状度を加え,人間の主観的評価結果を適切に説明して,臨床での最適濃度・濃度範囲を求めるための最適撮影条件を示した.さらに,この手法をフラットパネルディテクタ(FPD)などのディジタルX線画像にも適用して,検出量子効率(DQE)などの総合評価尺度を計算し比較して,ディジタルX線画像の画質向上と患者の被ばく線量低減を両立するディジタルX線画像の最適撮影条件を求めることにも貢献した.このような松本氏の長年の学術的な観点からの貢献は本会学術賞に値する.

略歴

  • 1978年 京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科電気工学専攻修士課程修了
  • 1983年 大阪府立工業高等専門学校電気工学科助教授
  • 1992年 博士(工学)(京都大学)
  • 1994年 大阪大学医学部保健学科助教授
  • 1998年 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻助教授
  • 2007年 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授

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[学術賞]

フレキシブル色素増感太陽電池の研究

受賞者:宮坂 力氏

宮坂力氏は,長年にわたり次世代太陽電池として期待される色素増感太陽電池に関して,塗布法を指向した素材ならびにフレキシブルな支持体を用いたモジュール作成の検討を行ってきた.酸化チタンナノ多孔膜を高い密着力で被覆するための特殊な高粘度分散酸化チタンペーストを開発し,プラスチック支持体を用いた色素増感太陽電池を作成した.電解液としてナノカーボンとイオン液体の複合材料を用いることで,高い光電変換効率を示す全固体型モジュールを作成した.同時にプラスチック支持体に適した導電性ポリマーから形成される多孔質対電極を開発した.

上記のように,宮坂氏はフレキシブル支持体を用いた太陽電池に必要な素材の設計指針を明らかとし,低温での塗布法による高効率な大面積フレキシブル型太陽電池の製造を可能とした点で,色素増感太陽電池の学術的な発展に大きく貢献したので,本会学術賞に値するものと考えられる.

略歴

  • 1981年 東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程修了
  • 1981年 富士写真フイルム(株)入社,足柄研究所
  • 2001年 桐蔭横浜大学工学部・大学院工学研究科教授
  • 現在に至る.
  • 2008年 文部科学大臣賞 受賞

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[技術賞]

リン光発光を用いた有機EL 照明の開発

受賞者:北 弘志氏,中山 知是氏,柏木 寛司氏,加藤 栄作氏,古川 慶一氏

本賞は,全ての光にリン光を用いた有機EL 照明デバイスに関する一連の研究開発,および商品化に関するものである.有機ELは当初ディスプレイ用途に開発が進められていたが,近年では照明への展開も本格化してきており,すでに国内外で10 社以上が商品や試作品を発表している.今後さらなる発展を遂げるためには低消費電力を達成することが求められており,それには原理上発光効率に優れるリン光発光を適用することが必要となる.

一方で,技術的なボトルネックとなっているのが「青色リン光材料」である.青色リン光材料は,発光する材料(ドーパント)の他にも,電子や正孔などのキャリアを運ぶ材料やドーパントのマトリックスとなるホスト材料など,多岐にわたる材料を専用に開発する必要があり,また,その他の発光色材料にくらべバンドギャップを広くとることが必要とされることから,その発光寿命が長年の課題であった.

候補者らが所属するコニカミノルタテクノロジーセンター(現在はコニカミノルタアドバンストレイヤーに移籍)では,技術難易度の高い青色リン光材料および層設計の開発に注力し,さらに発光素子の全体最適化を図ることにより,世界初となるBGR全てをリン光発光とした有機EL照明装置の商品化を達成した.

以上の如く,本件で開発した技術および商品化の実現は今後の有機EL照明のさきがけとなるものであり,技術的な貢献は大きいことから,日本写真学会技術賞に値するものである.

略歴

【北 弘志(きた ひろし)】

  • 1987年 東北大学工学研究科応用化学専攻 修士課程修了
  • 1987年 小西六写真工業(現コニカミノルタ)入社
  • カラー写真用発色材料の合成開発に従事
  • 1994年 同社中央研究所にて 機能性材料開発に従事
  • 2004年 (経営統合を経て)コニカミノルタテクノロジーセンター(株)材料技術研究所先端材料開発室室長
  • 2012年 コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)有機材料研究所所長(現職)

【中山知是(なかやま ともゆき)】

  • 1984年 東北大学工学研究科応用物理学専攻修士課程修了
  • 1984年 小西六写真工業(現コニカミノルタ)入社
  • ハロゲン化銀写真感光材料の研究開発に従事
  • 2004年 コニカミノルタテクノロジーセンター(株)材料技術研究所に配属,有機ELの研究開発に従事
  • 2012年 コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)OLED事業推進センター技術開発部シニアリサーチャー(現職)

【柏木寛司(かしわぎ ひろし)】

  • 1982年 東京工業大学総合理工学研究科化学環境工学専攻修士課程修了
  • 1982年 小西六写真工業(現コニカミノルタ)入社 カラー写真の要素技術開発に従事
  • 2005年 (経営統合を経て)コニカミノルタテクノロジーセンター(株)にてOLED 技術開発に従事
  • 2012年 コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)OLED事業推進センター技術開発部(現職)

【加藤栄作(かとう えいさく)】

  • 1989年 東北大学薬学研究科製薬化学専攻修士課程修了
  • 1989年 コニカ(現コニカミノルタ)入社 カラー写真用発色材料の合成開発に従事
  • 2003年 有機EL用有機材料開発に従事
  • 2012年 コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)有機材料研究所(現職)

【古川慶一(ふるかわ けいいち)】

  • 1994年 東北大学工学研究科応用化学専攻 修士課程修了
  • 1994年 ミノルタ(現コニカミノルタ)入社 電子写真技術の開発に従事
  • 1999年 反射型液晶を用いた電子ペーパーの開発に従事
  • 2004年 照明用有機ELデバイスの開発に従事
  • 2012年 コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)OLED事業推進センター技術開発部(現職)

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[技術賞]

ハイブリッドビューファインダーの開発

受賞者:宮野 俊氏,近藤 茂氏,竹下 幸孝氏

コンパクトデジタルカメラは背面液晶の表示を見て撮影するスタイルが一般的になっている.しかし,ファインダーの搭載を望む声も大きい.コンパクトデジタルカメラのファインダーは光学ファインダーとEVFに大別される.いずれにも長短所があった.

宮野氏,近藤氏,竹下氏は光学ファインダーにEVF光学系を組み込むことにより2つのファインダーの長所を併せ持つファインダーを開発し,コンパクトデジタルカメラFUJIFILMX100に組み込んで商品化した.
この技術開発はファインダーのイメージを変える画期的なものである.

以上のような理由から日本写真学会技術賞に値するものである.

略歴

【宮野 俊(みやの ひとし)】

  • 1980年 東北大学理学部物理学科卒業
  • 1980年 富士写真光機(株)(現富士フイルム(株)光学デバイス事業部)入社
  • 放送用テレビレンズ,内視鏡,カメラなどの光学系の設計を担当(現在に至る)
  • 現所属 光学デバイス事業部第一レンズ商品部

【近藤 茂(こんどう しげる)】

  • 1981年 上智大学 理工学部 機械工学科卒業
  • 1988年 富士写真フイルム(株)(現富士フイルム(株))入社
  • 入社後,電子映像機器の開発設計に従事.多くのDSC光学ユニットの開発設計を担当してきたが,X100 ではカメラ構想設計からカメラ全体の商品化設計を担当(現在に至る)
  • 現所属 R & D 統括本部電子映像商品開発センター

【竹下幸孝(たけした ゆきたか)】

  • 1981年 東京理科大学 工学部 機械工学科卒業
  • 1988年 富士写真フイルム(株)(現富士フイルム(株))入社
  • フイルムカメラ,DSCのメカ要素開発・製品化に従事(現在に至る)
  • 現所属 R & D 統括本部電子映像商品開発センター

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[論文賞]

顔画像による印象形成 ―画質効果の個人差について―

佐藤 慈氏,坪井 麻早記氏,青木 直和氏,小林 裕幸氏

要旨

本研究では,顔画像から受ける人物印象に与える画質の効果が,相貌や性別といった個人差によって異なるのかどうかを検討した.相貌および性別の異なる複数の顔画像を実験に用い,それらの画質をコントロールした刺激画像上の人物の印象を3個の形容詞対(「親しみやすい―親しみにくい」「活発な―おとなしい」「まじめな―ふまじめな」)からなる5 件法の質問紙によって被験者に評価させた.その結果,相貌や性別に比較的関係なく効果を及ぼす画質操作と,相貌や性別によって効果の異なる画質操作があることが分かった.

略歴

【佐藤 慈(さとう しげる)】

  • 1997年 千葉大学大学院工学研究科画像工学専攻修士課程修了(工学修士)
  • 2002年 カッセル大学芸術学部美術学科 修了
  • 2008年 千葉大学大学院自然科学研究科情報科学専攻博士後期課程修了,博士(学術)
  • 現在 九州産業大学芸術学部写真映像学科准教授

【坪井麻早記(つぼい まさき)】

  • 2011年 千葉大学大学院融合科学研究科情報科学専攻修了(工学修士)
  • 現在 富士フイルムイメージングシステムズ(株)勤務

【青木直和(あおき なおかず)】

  • 1979年 千葉大学大学院工学研究科写真工学専攻修了(工学修士)
  • 2008年 博士(工学)
  • 現在 千葉大学大学院融合科学研究科准教授

【小林裕幸(こばやし ひろゆき)】

  • 1974年 千葉大学大学院工学研究科写真工学専攻修了(工学修士)
  • 1979年 エルランゲン大学(Dr.rer.nat.)
  • 現在 千葉大学大学院融合科学研究科教授

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[進歩賞]

高感度原子核写真乾板の開発

長縄 直崇氏

長縄氏等は2010 年より,原子核乳剤の新たな開発に着手し,ニュートリノ振動実験OPERA に使用した原子核乳剤に対してこれを極限まで高銀化し,最少電離の荷電粒子に対する感度(飛跡を作る銀粒子の個数線密度)がこれまでの約2.5倍となる高感度原子核乳剤を開発した.カブリの発生を抑え,性能の安定化に目途を付けた.また,原料のカリウム含有化合物を全てナトリウム含有化合物に置き換え,天然の放射性カリウムによる内部の放射線バックグラウンドの低減も行った.

この乳剤は気球ガンマ線望遠鏡,陽子線治療,ミューオンラジオグラフィー等の準備研究で実装され,従来のものに比べて飛跡の自動読み取りの効率を飛躍的に向上させる結果が得られた.また,高感度化により,荷電粒子の電離能力をより精密に測定できるため,ニュートリノレス二重ベータ崩壊の検出実験,電荷が1より小さい荷電粒子の探索など,素粒子物理学上の新たな発見をもたらし得る実験での使用を目的にした改良も進められている.

長縄氏等の研究による原子核乾板技術の進歩は,銀塩フィルムの活躍の場の拡大に寄与し,素粒子物理学の進歩につながるものであり,進歩賞に値する.

略歴

  • 2003年 名古屋大学理学部卒業
  • 2005年 名古屋大学大学院理学研究科博士課程(前期課程)修了
  • 2010年 名古屋大学大学院理学研究科博士課程(後期課程)修了,理学博士
  • 同年 名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構現象解析研究センター研究員 現在に至る

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[東陽賞]

カラー銀塩感光材料の技術革新史の執筆と産業技術史としての啓蒙活動

受賞者:大石 恭史氏

大石恭史氏は1958年に富士写真フイルム(株)に入社され,カラー写真の母体となる写真用素材の使用技術の開発,次に責任者としてカラーインスタントシステム「フォトラマ」の開発を行い,さらに足柄研究所長・宮台技術センター長として技術開発と商品化に大きな業績を上げ,広い分野の多くの研究者に大きな影響を与えてきた.2002年に代表取締役として退任された後,念願であったカラー写真の技術史を執筆するため資料・文献などの調査から開始された.綿密な調査と40 余年に渡ってカラー感材開発に携わった見識で,「カラー感光材料の技術革新史」を纏められた.

本技術史は,「分光増感」・「発色現像」・「インスタントカラー」・「銀色素漂白カラー」からで構成されており,2007年70 巻5 号から2009 年72 巻6 号までの10 篇の講座として,学会誌に掲載され,本会に対して,カラー感光材料の分野での学術的な活動を本会のアクティビティーの中でも活発に展開し,本会の発展に貢献した.

この様に,国立科学博物館が産業技術史の系統化として該分野を注目し始めているのを機に,当会が関連する領域の産業技術のパイオニアとして,また技術革新史を纏められた功績は東陽賞に値する.

略歴

  • 1958年 東京大学工学部大学院卒
  • 1958年 富士写真フイルム(株)入社
  • 1982年 同社足柄研究所所長
  • 1998年 同社専務取締役,技術・研究・開発業務管掌
  • 2000年 同社代表取締役
  • 2002年 同社退任
  • 1994年 (社)日本写真学会会長
  • 2001年 日本写真学会名誉賞受賞

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[会長表彰]

日本写真学会の運営・発展に尽くされた功

金田 英治氏

金田英治氏は,1966年三菱製紙株式会社に入社以来,写真感光材料の研究開発に従事され,同社の感材研究所所長,同本社研究開発部長,同感材テクニカルセンター所長の重責を歴任された.

1965年本会入会後,1970年には西部支部幹事に就任,1994年〜 1995年には西部支部支部長,1992年度から1998年度までの3 期,6 年間に亘って理事を務め,その間1996 年度〜1997年度には副会長の重責を担い,学会を取り巻く厳しい環境下,学会の活性化など重要案件に対し他の役員とともに学会運営や発展のために腐心された.更に,2004年度からは監 事の要職を担い,学会の財務及び運営全体に対し,役員として監査の立場から学会運営や発展の為に大いに貢献された.

以上のような長期にわたる日本写真学会の運営や発展に対する貢献,および写真分野における産学界に対する寄与は,非常に大きく,会長表彰に値する.

略歴

  • 1964年に京都大学工学部工業化学科を卒業し,同大学院修士課程修了(1966年)後に三菱製紙株式会社入社(1966年),同感材研究所所長(1989年)同本社研究開発部長(1995年),同感材テクニカルセンター所長(1998 年)を歴任,2003年三菱製紙株式会社を退社.
  • 西部支部幹事(1970年),西部支部長(1994年〜1995年),本部理事(1992 年〜1998 年),この間に副会長(1996 年〜1997年)を歴任.2004年から監事(2004年〜2011年)に就任,現在に至る.

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[会長表彰]

東日本大震災被災写真の修復に関する活動と報告

鎌田 桂成氏

鎌田桂成氏は,2011.3.11 の東日本大震災に際し,「富士フイルム写真救済プロジェクト」のメンバーとして,被災写真の救済に尽力,実際に実験を行いながら,最適な洗浄方法を決定して,手順や注意点等をまとめるとともに,現地指導やボランティア指導を行い,被災写真の救済に多大な貢献を行った.

富士フイルム神奈川工場足柄サイトで写真洗浄(被災写真17万枚を処理)に際しては,現場設営・作業の指導. 運営にも尽力した.さらに,被災写真の救済活動について,下記学会活動を行った.<

  • 5 月 日本写真学会年次大会での講演
  • 7 月 感材工業会での講演
  • 8 月 日本写真学会誌への寄稿
  • 12月 画像四学会研究会での講演

これらの活動の中で,画像膜の溶解は微生物によるものであること,殺菌された水中では進行が遅れることを実験で検証し報告した.

上記のように震災による被災写真の救済に鎌田氏が上げた業績は顕著であり,また,学会活動への貢献,および写真分野における社会的な寄与は非常に大きく,会長表彰に値する.

略歴

  • 1988年に富士写真フイルム株式会社に入社.入社以来,銀塩カラー写真材料関連技術の業務に携わり,特に現像処理関連技術を中心に,開発,評価,市場サポートに従事.

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[会長表彰]

東日本大震災被災写真の修復に関する活動と報告

白岩 洋子氏

白岩洋子氏は,2011.3.11の東日本大震災に際し,被災写真の救済に尽力,実際に実験を行いながら,最適な洗浄方法を決定して,手順や注意点等をまとめるとともに,現地指導やボランティア指導を行い,被災写真の救済に多大な貢献を行った.

白岩氏は,被災現場にいち早く赴き,現地の方々と一緒になって,被災写真の洗浄及び修復に関しては現場設営・作業の指導・運営にも尽力した.特に,岩手県大船渡市における被災写真救済活動,津波による材料種・形態別の写真の被害状況の分析と被害に応じた処置と修復を実践され,これらの処置と修復方法をまとめ,現地活動団体等への指導や当会でも,年次大会で講演(5月),学会誌に寄稿(8月),「画像保存セミナー」で講演(11月)の報告がされた.

震災による被災写真の救済に白岩氏が上げた業績は顕著であり,また,学会活動への貢献,および写真分野における社会的な寄与は,非常に大きく,会長表彰に値する

略歴

  • 1989年 上智大学文学部フランス文学科卒業
  • 1990年 Sotheby’s Educational Studies, Works of Art 終了
  • 1991年〜2003年 L & R Entwistle and Co Ltd, London UK
  • 2004年 University of the Arts London, Camberwell College of Arts, Postgraduate Diploma in Conservation 修了
  • 2005年〜2009年 株式会社絵画保存研究所
  • 2010年 修復家として独立.紙作品,写真作品の修復を専門とする.

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